【書評】insight|自己認識のためのフィードバックと心理的安全性

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insight (自己認識能力) とは「自分自身のことを明確に理解する能力」のことです。

自己認識能力が身についている人は、幸福度が高く、賢明な判断をし、良い人間関係を築くなどなど様々なメリットを得られるそうです。自己認識能力は生まれ持ったものではなく、後天的に身に付けることができます。

insight」では、自己認識能力についての解説やそれらを身に付ける方法が紹介されています。

今回は「insightインサイト」の全体像を簡単に説明した後に「フィードバック」と「心理的安全性」について紹介します。

自己認識能力を身に付ける方法

insightには「個人レベルの自己認識」と「集団レベルの自己認識」があります。

個人レベルの自己認識は内的自己認識と外的自己認識に分けることができます。内的自己認識とは、自分自身を明確に理解する能力のことです。外的自己認識とは、周りが自分をどう見ているか理解する能力のことです。どちらか一方ではなく両方の視点から自己認識することが重要になります。

個人レベルでも、集団レベルでも、インサイトにはいくつかの柱があります。個人では「価値観」「情熱」「パターン」など7つの柱が、集団では「目的」「進捗」などの5つの柱があります。

それらの柱を支えるものとして「マインドフルネス」や「フィードバック」や「心理的安全性」などがあります。

これらの内容の中で特に参考になった、個人の外的自己認識を支える「フィードバック」集団の自己認識を支える「心理的安全性」について紹介します。

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フィードバック

他者からのフィードバックが外的自己認識、つまり周りが自分をどうみているか理解するために役に立つことは説明するまでもないと思います。

しかし、誰にフィードバックを求めるのか、どのように求めるのかを意識しないと有益なフィードバックは得られません

有益なフィードバックが得られなくなってしまう理由は「マム効果」が働いてしまうからです。マム効果とは「悪い知らせを伝えるのをためらい沈黙を保つ効果」のことです。

たしかに、相手の長所や相手が喜ぶ情報は簡単に伝えられますが、相手の短所や相手が悲しんだり傷ついたりするかもしれない情報はできれば伝えたくないですよね。

では、どのような人にフィードバックを求めればよいのでしょうか?それは「愛のある批判者」です。こちらのことを真に思ってくれ、正直に伝えてくれる人です。妬みや嫉妬によりただ批判するだけの人やどんなことでも肯定してくれる信者のような人からは有益なフィードバックを得られる確率は少なくなってしまいます。

では、どのようにフィードバックを求めればよいのでしょうか?

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本書ではいくつかの方法が紹介されていましたが特に参考になったのは「仮説質問」です。たとえば、「私は人前で発表するときに、自信がない印象を相手に与えている傾向があると思うのですが、あなたもそんな風に思いますか?」と聞くのが仮説質問です。自分が立てた仮説が正しいかどうかを相手に判断してもらいます。

「私の発表どう思う?」と聞いたときには「いいと思うよ」などと返され、有益なフィードバックを得られなさそうですもんね。

正直なフィードバックは自分の成長のためには欠かせませんが、周りからどう思われているかを知るのはとても怖く、勇気がいることだと思います。もちろん、私も怖いです。本書ではそのようなフィードバックをもらう恐怖に勝つ方法なども紹介されていました。気になる方はチェックしてみてください。

心理的安全性

心理的安全性は組織の生産性をあげるうえで重要な要素です。 心理的安全性は、ハーバード大学のエドモンドソン教授が提唱したもので あり、Googleのリサーチでも、心理的安全性のあるチームの方がパフォーマンスが高いことがわかっています。

Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
Google のリサーチチームは、「心理的安全性を高めると、チームのパフォーマンスと創造性が向上する」ということを発見しました...

心理的安全性とは何か?本書の中でこう紹介されています。

何でも許すということでも、ひたすらポジティブなふりをすることでもなく、声を上げて者に対して恥をかかせたり、排除したり、罰したりしないという信頼感のことです。

前半部分は、フィードバックの話と少し似ていてるなと思いました。なんでも肯定するだけでは意味がないというところが似ています。後半部分も議論や対話を進めて行く上では必須のものですよね。

では、どのようにすれば心理的安全性は生まれるのでしょうか?

最初のステップは、信頼を築くよう取り組むことだ。

人付き合いに信頼関係は欠かせませんもんね。しかし、信頼だけでは足りないそうです。

心理的安全性のあるチームはさらに一歩踏み込んで、互いへの尊重や、思いやりや、心づかいを見せている。

たしかに、学校などでもこれらのことをよく言われてきました。では、これらを実現するためにはどのような行動をすれば良いのでしょうか?

互いのことを弱点や欠点を持つ生身の人間だと認識する必要がある。実際、グーグルによるリサーチでは、心理的安全性を生むのに最も大きく貢献する要素は、弱さを見せること、つまり自分の欠点を進んで周りに認めることだと判明した。しかも、それはトップから始めなければならない

心理的安全性を生むには弱さを見せあう必要があるそうです。これもまた勇気がいることですね。自分の弱さを知るためにも先程紹介した「フィードバック」が必要になってくるなと感じました。

そしてトップ、リーダーから始めなけれなならない。「弱さを見せ合おう。」と上司や先生が言うのに、自分自身のミスを隠したりして弱さを見せなければ、部下や生徒も弱さを見せるわけがありませんよね。

心理的安全性は奥が深そうなのでGoogleのリサーチなどを利用してさらに勉強してみようと思いました。

まとめ

■insight自己認識能力の概要
■フィードバックについて
■心理的安全性について

今回は500ページ近くある「insight」の中から「フィードバック」「心理的安全性」の一部について簡単に紹介しました。

insight」は、ここだけでは到底伝えきれないくらい奥が深い内容だなと感じました。

本書では他にも、フィードバックをもらう恐怖に対処する方法自分の価値観や情熱などを知るための資料などが紹介されています。

References
https://amzn.to/313hVJM
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/