大隅良典 (おおすみよしのり) 先生を知っていますか??一度は聞いたことがあるはずです
2016年に「オートファジーの仕組みの解明」により「ノーベル生理学・医学賞 」を受賞した先生です
その大隅先生が設立した「公益財団法人大隅基礎科学創成財団」の第1回市民講座に参加して大隅先生や他の2人の先生のお話を聞いてきたので紹介します!
オートファジーってなに?
「オートファジー」って聞いたことはあるけど、なにそれ?って人のために簡単に説明します!
オートファジーは「細胞の中のものを分解する仕組み」です
作り過ぎてしまったタンパク質・不要になったタンパク質・細胞に感染した最近などを膜で包み込んで分解します。また、栄養がなくなったときにはオートファジーで自分の細胞内のタンパク質を分解して再利用することもできます
大隅先生がオートファジーの仕組みを解明したおかげで多くの研究者がオートファジーの研究をするようになり、最近では「オートファジーは難病であるパーキンソン病などの病気・老化・がんなどにも関わる」ことが分かってきて注目度はますます高くなっています
詳しく知りたい人向けに2冊の本を紹介します!1冊目の本は値段がお手ごろだし、大隅先生と研究をしていた水島先生が書いた本なので内容も信頼できます。まず読むならこっちが特におすすめです!
水島先生のこちらの本がおすすめです。水島先生はオートファジー研究のトップランナーです
もっと詳しく知りたい人は大隅先生が書いたこちらの本もおすすめです
講演会プログラム
講演会は最初にあいさつなどがあったあとに3人の先生の講演を聞けました
1人目の大隅先生が「半世紀の研究を振り返って基礎科学について思うこと」
2人目の千葉大学の村田先生が「生体分子モーターの仕組みを追い求めて四半世紀」
3人目の群馬大学の佐藤先生が「ミトコンドリア遺伝子がお母さんから受け継がれる仕組み」
それぞれの先生の講演の内容について簡単に紹介します!
大隅 良典 先生
大隅先生の講演で一番印象的だった内容は「科学を文化として楽しむ社会」です
「その研究が役に立つにことばかり求めず、科学を社会全体で楽しもうよ」ということですね
大隅先生自身も「人の役に立つために」という思いではなく、自身の知的好奇心に駆られて「オートファジーの仕組みを知りたい」という思いで研究をしてきたそうです
オートファジーはそんなに大事な仕組みだとは考えられていなかったが、大隅先生の知的好奇心によってその仕組みがだんだんと分かってきた結果、がん・神経の病気・老化などにも関わっているということが分かったのです
最初から役に立つことだけを求めていたら、オートファジーが様々なことに関わることはいつまでも分からないままだったかもしれません
純粋に仕組みを知りたい!形を知りたい!はたらきをしりたい!という知的好奇心に基づいた基礎研究からしかわからないこともあります
次の村田先生も、製薬会社が作る医薬品についても基礎研究が重要であることをお話していました
村田 武士 先生
村田先生は千葉大学大学院理学研究科で「V-ATPase」の研究をしている先生です!
ちなみに「V-ATPase」とは、
V-ATPaseは、ヒトなどの真核生物の生体膜に存在し、水素イオンを膜の外から中に運ぶことで膜内のpHを調整しています。また、V-ATPaseは骨の形成に関わる破骨細胞やガン細胞の膜にも存在しており、骨粗鬆症やガン細胞の増殖・転移に関与していることが分かっています。そのため、V-ATPaseの分子メカニズムを知ることはこれら疾病の理解に繋がりますし、V-ATPaseの阻害剤は治療薬として期待されています。
村田先生の研究室のHPより引用
村田先生も「V-ATPaseの構造が知りたい」という基礎研究から始まり、今では創薬にも関わっているそうです。
村田先生の話の中で印象的だった内容は2つあります
1つ目は「医薬品開発に大学などのアカデミアが関わる重要性」です
先生が例で挙げていたのは病原菌が体内に侵入したときに飲む「抗生物質」についてです
最近は、抗生物質に耐性をもち抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」が問題になっています
製薬会社が抗生物質を作っても、その抗生物質が効かない病原菌が現れて抗生物質が売れなくなる。製薬会社も利益を上げなければ潰れてしまうので、抗生物質の開発をしなくなる
実際、抗生物質の数は減っているそうです
そこで、利益を求めない大学などのアカデミアと製薬会社が協力することであまり利益にはならない薬の研究・開発ができるとおっしゃっていました
2つ目は「日本の博士号取得者数の問題」です。
博士号とは一人前の研究者である証明書のような資格です
大学院で修士号を取ったさらにその先が「博士号」です
日本は他の先進国に比べて博士号の取得者が少ないです。また、他の国々の博士号は増加傾向にあるのに対し、日本の博士号は減少しています。
大隅先生の目指す「科学を文化として楽しむ社会」が浸透すれば解決できるかもしれませんね
佐藤 美由紀 先生
佐藤先生は群馬大学の生体調節研究所で「オートファジーと母性遺伝の関係」の研究をしている先生です
「母性遺伝」とは「細胞の中にあるミトコンドリアは母からもらったもの」ということです
「核」は父と母からもらうのに、ミトコンドリアは母からしかもらいません
母性遺伝のやり方は生き物によって様々な方法があります
そもそも精子のミトコンドリアが卵に入れないから母性遺伝する生き物や、卵に侵入できるけど卵の中で精子のミトコンドリアだけオートファジーで消されてしまい母性遺伝する生き物など他にも様々な方法で母性遺伝が起きています
母性遺伝にもオートファジーは関わっているのです
母性遺伝の話は特に面白かったので、また別の機会に詳しく書きたいと思います!
まとめ
ノーベル賞を受賞した大隅先生の話を聞く貴重な経験ができてよかったです!
どの先生の話からも、人の役に立つことだけを目的にするのではなく、自分の知的好奇心に素直になること大切だよと教えてもらった気がします
「科学を文化として楽しむ文化」が浸透してほしいですね!
今回の講演は「公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 第1回 市民講座 」であり無料で参加することができました!
オートファジーについて少し勉強してから、次回の市民講座に参加し、ノーベル賞受賞者の話を直接聞いてみませんか?